「ちゃん、ご苦労さま」
「サンジさん?」
毛布に身体を包んで、見張り台から周囲を見回していた少女の頬は、寒さからか赤く染まっている。
だがそれが、陶磁器のような白い肌をより引き立て…愛らしさを増しているようにも見える。
「長時間の見張りは大変だろ」
「そんなことないです。出来ること、頑張らなきゃ」
「そんな頑張り屋の小さなレディの身体を温める…サンジ特製甘酒でございます」
「甘…酒?」
「小さな小国で、新年…年が変わる時に飲む祝いの酒ってところかな」
「お祝いの…?」
「あぁ」
「でも、見張りがお酒を飲んだら、寝ちゃうよ?」
口元へ運びかけた少女の手が止まるのを見て、思わず微笑む。
「大丈夫。こいつは酒と言ってもアルコールは入っていない」
「本当?」
「あぁ、逆に冷えた身体を温めてくれるはずさ」
「それじゃあ…えっと、頂きます」
「どうぞ、召し上がれ」
ふぅふぅ…と、冷ましながら飲む姿を、煙草を吸いながら眺める。
「美味しい!」
「レディの口に合えば、なにより」
恭しく頭を下げれば、くすくすと鈴の音を転がすように笑う。
そんなちゃんを見ているだけで、酒を飲まなくとも身体の奥…そう、心が温まるのが不思議だ。
「こんな風に甘いお酒なら、いくらでも飲めそう」
「ははっ、そりゃいい。だったら今度はまた、別のカクテルでも用意しようか」
「酔わない?」
「酒は一切使わない…キミだけの、特製カクテルを用意するよ」
「ありがとう、サンジさん!」
まっすぐ笑顔を見せてくれる彼女の笑顔を見ていれば、冷気が頬に当っても寒さを感じない。
やれやれ…いつから俺は、このレディに酔わされたんだ?
けど ――― 悪くない
口実を作ってでも、傍に来たいくらい
俺は、どうやらちゃん、君のことが…
2009web拍手、名前変換入れて手を加えて再録。
アニメではすっかり出番が減っているサンジさん。
そして、ワンピース新刊で新章突入したサンジは、えらい大変なことになってしまいました(笑)
まさかそんなことになるなんてっっ!!
ネタバレのため、言いません…黙ります、飲み込みます…ごっくん。
でもONE PIECE読んだことない人は、絶対一度は読むことをオススメします!
読まないと、人生損しちゃうって思えるくらいいい作品ですよ!!
胸というか、心に響くものがあるからっ!!